エアクッションソールによる素晴らしい履き心地と、厚めのソールとイエローステッチのデザインが、世界中のファッショニスタ達を魅了し続ける「ドクターマーチン(Dr.Martens)」。
メンズブーツの定番と言える「1460 8ホール」や、メンズシューズの代名詞的存在の「1461 3ホール」を筆頭に、スタイルやコーデを選ばない汎用性が高く支持されています。
今回はそんなドクターマーチンについて、多くの男性の心を掴んで止まない魅力をご紹介致します。
初めてのブーツや革靴選びはもちろん、彼氏や旦那さんへのプレゼントまで、ドクターマーチンを購入する際に知っておきたいポイントや「これを選べば間違いない」という定番モデルについてご紹介していますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
ブーツブランドの絶対王者。ドクターマーチン
ファッション3大ブーツブランドといえば、レッドウィング、ティンバーランド、そしてドクターマーチンです。
ドクターマーチンは「ブーツ」と聞いて最初に名前の上がるブランドの1つであり、、初めてのブーツ選びにおすすめされる事の多いブランドでありながら、永久定番としてコアなファンも多いブランド。
1947年にドイツはゼースハウプトで誕生した「ドクターマーチン」は、1959年にイギリスの靴製造メーカーが特許権を買い取り、現在のシルエットや黄色の縫い目が誕生。
そこから労働者を中心に普及し、多くの不良やパンクロックスター達が愛用。
靴自体の良さはもちろん、上述のようなバックボーンにより、現在に至るまでストリートの象徴として世界中で人気となっています。
ドクターマーチンが愛され続ける3つの魅力
レジスタンスから警察官まで、ストリートギャングもロックスターも郵便局員も愛用したブーツの代名詞的ブランド「ドクターマーチン」。シンプルに1言でドクターマーチンの魅力を語るとするなら「かっこいい」というのが最大の魅力と言えるでしょう。
しかし、ドクターマーチンが人気の理由を細かく分析するとしたら、以下の3つは外せません。
- 一目で「ドクターマーチン」とわかる特徴的なデザイン
- スニーカーに匹敵する弾むようなエアソールの履き心地
- 「カルチャー」を牽引してきた数多のエピソード
一目で「ドクターマーチン」とわかる特徴的なデザイン
ドクターマーチンと言えば?
- ポリッシュドスムースレザーの独特な光沢感
- イエローステッチと呼ばれるウェルトの縫い糸
- ゴツく厚い黄味がかったラバー素材のソール
- 存在感を主張するプルタブ
例えばティンバーランドの6インチのような履き口のパッドがあるわけでも、レッドウィングのアイリッシュセッターのような特徴的な色やモカシン縫いがあるわけでもありません。
黒のスムースレザーを使ったプレーントゥの「なんの変哲もないブーツ」なのに、ドクターマーチンのブーツやシューズは一目で「それ」とわかる存在感を宿しています。
初めてファッションに興味を持った人から、人生をファッションに捧げているような人までファンがいる「わかりやすいかっこよさ」を持っている点が、多くの人に愛される理由の1つと言えます。
スニーカーに匹敵する弾むようなエアソールの履き心地
ドクターマーチンの機能面における最大の特徴は「エアソール(バウンシングソール)」による革靴では考えられない履き心地です。
特許取得時に「エアウエア(Air Wair)」と名付けられたバウンジングソールは、現在でこそスニーカーソールの革靴が台頭してきているため「特別な存在」ではなくなりつつありますが、圧倒的な履き心地を誇ります。
いわゆる、一般的な革靴やブーツに採用されるゴム底と言えば、ダイナイトソールのようなペラペラの物や、ラグソールやクレープソールのようなものが定番でした。
しかしマーチンのバウンジングソールはそれらを超越した圧倒的なクッション性を誇るだけでなく、水や油の上でも確かなグリップ力を発揮し、中には凍結した路面でも大丈夫な素材を採用したモデルもあります。
スニーカー全盛期の昨今において、革靴やブーツは「お洒落は我慢」と言った感じに履き心地や歩行性を犠牲にしてお洒落を楽しむアイテムと考えられがちです。
しかしドクターマーチンのブーツはそういった我慢をする必要がないというのも、大きな魅力の1つと言えるでしょう。
「カルチャー」を牽引してきた数多のエピソード
ファッションアイテムとして長く愛されるには、ヒストリーやバックボーンといった「製品自体の魅力」以外の魅力も必要です。
数多あるシューズブランドの中でも、ドクターマーチンというシューズは特に「音楽」を中心としたカウンターカルチャーと密接に結びつき、数多の「芸術家」達に愛されてきました。
そもそも、ドクターマーチンは労働者を中心に、警察官や郵便配達人がターゲットの実用本意な作業靴でした。
しかしワーキングクラスの若者達に愛されたことで彼らがファッションとしても使用し、そこからモッズやスキンヘッズを中心とした反体制的なアンチファッションとして取り入れられるようになりました。
ビートルズやローリングストーンズはもちろんザ・フーが着用したりマッドネスがアルバムジャケットにドクターマーチンのブーツを採用するなど、サブカルチャーと密接な関係がありました。
2000年代に入るとドクターマーチンが「作業靴」という枠を超えて一般大衆に受け入れられたことで、尖った人たちの関心は他に移って行きましたが、そこからもメジャーシーンにおいて多くの著名人が歴史的場面で使用。
現在に至ってもまだ、ドクターマーチンはカルチャーを牽引している人々に愛され続け、ドクターマーチンもまたカルチャーを牽引する存在として認知され続けているのです。
ドクターマーチンの評価や評判について
ドクターマーチンに対する悪い評判は殆ど聞いた事がありません。
あえて「ドクターマーチンはダサい」という少数派の意見を抽出すると「履いている人が多すぎる」や「量産型っぽい」という意見が中心で、それ以外は「履いている人がダサいからドクターマーチンがダサく見える」というようなズレた意見ばかりです。
1言でバッサリ切ってしまうなら、ドクターマーチンに対して悪く言う方は「マイナーな自分かっこいい」してるだけですね。
ただ確かに、ドクターマーチンを見ないようにしながら渋谷や原宿を散歩するのは困難を極めるほどに普及していますし、8ホールは3ホールより着こなしが難しいので量産型っぽくなってしまうのも肯けます。
特に最近はファッション系ユーチューバーさんがドクターマーチンを取り上げる事が多く、大学生や高校生達にも凄まじい人気を誇っているため、昔のような「わかっている人が履くブランド」で無くなったのも事実です。
「流行を追っかける人」からするとダサいと思われるが、「身に付けるものにこだわりの強い硬派な人」からは今も高い評価を得続けているブランド、と言えるのではないでしょうか
ドクターマーチンの選び方
当たり外れがなく、展開されているほとんどのモデルが「定番」と言えるほどの人気を持ったドクターマーチンにおいて、選び方は「気に入った見た目ものを選ぶべし!」以外ありません。ですが、筆者自身が「購入前に知っておきたかったなぁ」なんて思った部分もありますので、その辺りを踏まえつつ初心者向けにドクターマーチンの選び方を5つのポイントに分けてご紹介しましょう!
- 8ホールか3ホールが最初の分かれ道
- ドクターマーチンはソールの厚さが重要
- アッパーに使用される素材の種類と選び方
- 定番ブランドだからこそ限定モノに拘る
- 覚えておきたいドクターマーチンの種類名
気に入ったものを買うのが1番の正解ですが、購入してから「そんな選択肢もあったのか!」とならないようなポイントだけでも覚えておくのがお勧めです。
ポイント1:8ホールか3ホールが最初の分かれ道
ドクターマーチン基本の2種類
- 8ホール(1460)|ブーツ|ドクターマーチンと言えばコレ!
- 3ホール(1461)|シューズ|ブーツより使いやすいので初心者におすすめ!
初めてドクターマーチンを購入するのであれば、色はブラックかチェリーを選んでおけば「絶対に失敗する事はない」でしょう。
ドクターマーチンといえばブーツのイメージも強く、ブーツのブランドとしては頂点に君臨するブランドの1つですので、どちらを選べば良いか迷っているなら8ホール(1460)がおすすめです。
しかし、ブーツタイプは足が短く見えやすく、合わせるボトムスにもテクニックが必要なので、ファッションアイテムとして選びたい初心者さんの場合は3ホール(1461)の方が使いやすいでしょう。
まずはブーツを選ぶかシューズを選ぶか、この部分が選び方のポイントとなります。
ちなみにドクターマーチンでは、サイドゴアブーツなどの展開は勿論、スニーカーやローファー、サンダルと言った展開まで幅広くあります。
元々作業靴のブランドとして始まったドクターマーチンらしく、定番の8ホールや3ホールには安全靴のような鉄芯入りのスティールトゥモデルもあるので、気になる方はそちらもチェックです。
ポイント2:ドクターマーチンはソールの厚さが重要
ドクターマーチンの魅力の1つに「身長を盛れる」と言う部分があります。
一般的に定番とされる通常モデルのソールでも最も厚い部分で約3cm程度。特に最近人気のメンズコレクションだとそれよりもさらに厚いソールを履いたモデルもあります。
ブーツタイプは足が短く見えやすく、筆者を含め座高の高いタイプの方の場合ブーツを履いた時のスタイリングというのは非常に困難を極めてしまいがち。
しかしドクターマーチンの場合は厚手のソールを選べるので、ブーツタイプなら厚底気味のモデルを選ぶだけでグッとスタイリングが容易になる点も選ぶ際に注目したいポイントです。
ドクターマーチンは定番モデルであれば殆どが厚底ソールの展開を用意されています。
厚底と言っても女性向けのような極端な形状ではなく、むしろ厚底タイプの方が無骨でワークなルックスとなっており男臭くワイルドな仕上がりになっているので安心してください。
ちょっと厚めのソールにしたいならベックス(BEX)と呼ばれる仕様のモデルを。ガッツリ目に盛りたいなら「QUAD RETRO」と呼ばれるコレクションのモデルを選びましょう。
ポイント3:アッパーに使用される素材の種類と選び方
ドクターマーチンの定番「革」
- 定番|ポリッシュドスムースレザー
- 合皮|ヴィーガンマテリアル
- その他|パテント,タンブル,ヴァージニア
そして個人的におすすめなのがヴィーガンマテリアルと呼ばれる合成皮革です。
筆者は別にヴィーガンでもなんでもないのですが、昨今の合成皮革のクオリティは本当に素晴らしく、見た目だけで天然皮革ではないと見破れる方は殆ど居ないと思える完成度。
雨の中でも気にせず履けて、毎月のお手入れも不要と、「革を愛でる」作業が億劫な方ならむしろ合成皮革のヴィーガンマテリアルを選ぶ方がおすすめですし、筆者自身も合皮のマーチンを愛用しています。
定番の皮革素材以外にも、タンブルレザーと呼ばれるシボをつけた重量感のある厚手のオイルレザーや、柔らかいヴァージニアレザーを採用したモデルもあります。
1足目はポリッシュドスムースレザーかヴィーガンマテリアル、せめてパテントあたりまでの中で選ぶのがおすすめですが、あえて定番を外して差をつけたいならそれ以外の素材も要チェックです。
ポイント4:定番ブランドだからこそ限定モノに拘る!
8ホール(1460)も3ホール(1461)も、街で見ない日はないほどに普及している人気モデルだからこそ、あえて限定のコレクションや争奪戦必須のコラボレーションモデルも要チェックです。
例えばここ数年だと「メイド・イン・イングランド(MIE)」と呼ばれる、ノーサンプトンシャーの工場でハンドメイドされたイングランド製のプレミアムなコレクションは差のつく逸品として人気です。
その他にも、現代の作業靴に求められる機能性を追求したワークコレクションや、冬向けのファーコレクション、創業当時のディテールを追求したアーカーブコレクションなども展開されています。
ここ最近で争奪戦の激しかったコラボモデルだと
- STUSSY
- UNDERCOVER
- BAPE
- THE NORTH FACE
- RAF SIMONS
- YOHJI YAMAMOTO
- MARC JACOBS
特に「A-COLD-WALL*」とのコラボは筆者自身も抽選に外れて定価で手に入らず涙を飲みました。
この他にも、セックスピストルズやザ・フーと言ったミュージシャンとのコラボや、ジャン=ミシェル・バスキアのアートワークをアッパーにデザインしたモデルなど限定物の展開も比較的頻繁に行われています。
定番モデルはいつでも買えるのですから、もし購入時のタイミングでレア物の抽選が始まっていたら、そちらに参加してみるのも一興かと思います。
ポイント5:覚えておきたいドクターマーチンの種類名
覚えておきたい単語
- CORE|メインコレクションの事でいわゆる定番品
- ARCHIVE|創業当時のディテールを再現したコレクション
- CORE BEX|ラギッドソール風の厚底が採用されたモデル
- QUAD RETRO|別名「PLATFORM」。BEXよりさらに厚底のコレクション
- Z|1461Zのように使用。イエローステッチのモデル
- YS|イエローステッチのモデルを差別化する際に使用
- WS|ホワイトステッチのモデルに使用
自分自身が購入しようとしているモデルの系統やコレクション名がわかれば、同様のディテールを採用した違うモデルも選びやすいと思いますので覚えておいて損はないでしょう。
以上、参考になれば幸いです。